S&P500の中身を知っておこう。構成銘柄・セクター・比率を薬剤師が解説 -No.23-

オルカンを持っているなら、S&P500の中身も知っておいてほしい

以前の記事(No.12)で、オルカンの中身を解説しました。あの記事を書いてから、「じゃあS&P500は?」という疑問を持った方もいると思います。

私自身、ポートフォリオ公開(No.16)でお伝えした通り、オルカンとS&P500を並行して積み立てています。「なぜ両方持つのか」を説明するためにも、まずS&P500の中身を正しく理解することが出発点です。

今回は、S&P500がどんな指数で、何が入っていて、どのセクターが多いのかをデータで整理します。名前だけ知っている状態から、一歩踏み込んでみましょう。


S&P500とは何か

S&P500は、アメリカのNYSEやNASDAQに上場する時価総額上位約500社で構成される株価指数です。正式名称は「Standard & Poor’s 500 Stock Index」。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出・公表しています。

ひとことで言えば、「米国優良企業の代表選手500社の平均成績」です。米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしているため、「S&P500を見ればアメリカ経済の今がわかる」と言われるほど、世界中の投資家が注目しています。

採用基準はざっくりこうなっています。

条件内容
国籍米国籍の企業のみ
上場先NYSE・NASDAQなど
時価総額約127億ドル以上
収益直近4四半期連続で黒字
入れ替え年4回(3・6・9・12月)見直し

「誰でも入れるわけではなく、利益を出し続けていること」が条件のひとつになっているのがポイントです。指数に採用される時点で、すでに一定の「ふるい」がかかっています。


構成銘柄の上位10社を見てみる

S&P500は約500社で構成されていますが、「時価総額加重平均型」の仕組みのため、時価総額の大きい企業ほど指数への影響が大きくなります。

2024年末時点の上位10銘柄はこちらです。

順位銘柄セクター比率
1Apple(アップル)テクノロジー7.17%
2NVIDIA(エヌビディア)テクノロジー6.75%
3Microsoft(マイクロソフト)テクノロジー6.31%
4Amazon(アマゾン)一般消費財4.15%
5Meta Platforms(メタ)テクノロジー2.72%
6Alphabet Class A(グーグル)テクノロジー2.27%
7Tesla(テスラ)一般消費財2.23%
8Broadcom(ブロードコム)テクノロジー2.12%
9Alphabet Class C(グーグル)テクノロジー1.86%
10Berkshire Hathaway(バークシャー)保険・金融1.64%

見て驚くのは、上位10社だけで指数全体の約37%を占めているということです。500社あるのに、10社が3分の1以上を動かしている。「S&P500は分散投資だ」という理解に、少し補足が必要な数字です。

また、上位にテクノロジー企業が集中しているのがわかります。1〜9位のうち8枠がテクノロジー系(Alphabetはクラスの違いで2枠)。いまのS&P500は、事実上「テック企業主導の指数」という側面があります。


セクター別の比率を見る

次にセクター(業種)の構成比率です。

セクター比率(目安)
情報技術(IT)約31%
金融約13%
ヘルスケア約12%
一般消費財約11%
情報・通信約9%
工業約8%
生活必需品約6%
エネルギー約3%
公益事業約2%
不動産約2%
素材約2%

情報技術が約31%と圧倒的です。S&P500はアメリカ全体の指数でありながら、「テクノロジー寄りの指数」という性格を強く持っています。

これはオルカンとの大きな違いでもあります。オルカンは全世界分散なので日本・欧州・新興国も含まれますが、S&P500は米国のみ、かつIT比率が高い。「分散の仕方が根本的に違う」と理解しておくことが大事です。


オルカンとS&P500、何が違うのか

よく「オルカンを持っているのにS&P500も買うのは二重投資では?」と言われます。正直、それは一理あります。

オルカンの中にはS&P500と約60%が重複しています。つまりオルカンを持つだけで、すでにAppleもNVIDIAもMicrosoftも「入っている」状態です。

それでも私が両方持っている理由は、「米国経済の成長に対して、意図的に厚みを持たせたい」という考えからです。米国比率が高くなることは承知の上で、自分の判断で選んでいます。どちらが正解かではなく、自分が「なぜそれを持つのか」を説明できる状態にしておくことが大事だと思っています。


S&P500の強みと、気をつけること

強み:長期で見ると右肩上がりの実績がある

S&P500は、2000年のITバブル崩壊・2008年のリーマンショック・2020年のコロナショックでいずれも大きく下落しました。しかし、すべての局面で回復し、過去最高値を更新してきた歴史があります。「短期では荒れる、長期では上昇してきた」という事実が、インデックス投資の根拠のひとつになっています。

気をつけること:米国集中・IT集中のリスク

「全額S&P500で大丈夫?」と聞かれると、「それはあなたの判断次第」とお答えします。米国1カ国への集中、IT業種への偏りは事実としてあります。米国経済が長期的に停滞するシナリオや、テクノロジー規制の強化といったリスクは頭に入れておく必要があります。「絶対に上がる」という根拠は、どこにも存在しません。(ここ大事!!)


薬剤師として思うこと

薬の添付文書には、「有効性」と「副作用」が必ずセットで書かれています。「何に効くか」だけでなく「何に注意すべきか」も理解した上で処方するのが、医療の前提です。

投資も同じだと思っています。S&P500は優れた指数ですが、リスクとセットで理解してこそ、長く持ち続けられる。「なんとなく人気だから」ではなく、「中身を知った上で選ぶ」。それがSUMAIROのコンセプト「根拠のある投資」です。


まとめ

  • S&P500は米国優良企業約500社で構成される、世界が注目する株価指数
  • 上位10社だけで全体の約37%を占める。特にテック系大手の影響力が大きい
  • セクターはIT(約31%)が圧倒的で、テクノロジー寄りの指数
  • オルカンと約60%重複するが、米国・IT比率は意図的に高くなる
  • 長期実績は魅力的だが、米国集中・IT集中のリスクも把握した上で保有を

中身を知ると、ただの「人気投資信託」ではなく、「自分が何を持っているか」がクリアになります。S&P500もオルカンも、名前だけで選ぶより、中身を知って選ぶほうが、相場の波に動じず長く続けられる。そう思っています。


※本記事のデータは2024年末時点の情報をもとにしています。構成銘柄・比率は定期的に変動します。最新情報はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社の公式サイトや各ファンドの目論見書でご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。