「円安だから買い?円高だから売り?」という問いへの答え
為替が動くたびに、こんな声を耳にします。
「円安が進んでいるから、今のうちにドル建て資産を買っておいた方がいい?」
「円高になってきたから、米国株は一旦売った方がいい?」
結論から言うと、為替の動きで積立投資の戦略を変える必要はほとんどありません。ただし「なぜそう言えるのか」を理解していないと、相場が動くたびに不安になり続けます。
今回は為替と投資の関係を整理した上で、私自身がどう向き合っているかをお伝えします。
為替が投資に与える影響の基本
円安になると
米国株・外国資産の円換算評価額が上がる
たとえば1ドル=130円のときに100万円分のS&P500を買っていた場合、円安が進んで1ドル=150円になると、同じ株数でも円換算の評価額は約115万円に増えます。
つまり、円安は外国資産を持つ投資家にとって「追い風」です。
一方で、輸入コストが上がり生活費が増えるという側面もあります。エネルギー・食料品・旅行費用など、円安は日常生活にコスト増として跳ね返ってきます。
円高になると
米国株・外国資産の円換算評価額が下がる
先ほどの逆です。1ドル=150円が130円になると、評価額は約87万円に目減りします。
一方で輸入品が安くなり、海外旅行がしやすくなるという恩恵もあります。
円安・円高と各資産クラスの関係
| 資産 | 円安の影響 | 円高の影響 |
|---|---|---|
| 米国株(S&P500・オルカン) | プラス(円換算が増える) | マイナス(円換算が減る) |
| 日本株(輸出企業) | プラス(業績改善) | マイナス(業績悪化) |
| 日本株(内需・輸入企業) | マイナス(コスト増) | プラス(コスト減) |
| 金(ゴールド) | プラス(ドル建てのため) | マイナス |
| 円預金・国内債券 | 実質的にマイナス(購買力低下) | プラス |
では、為替で戦略を変えるべきか?
ここが本題です。
私の答えは「変えない」です。
理由は3つあります。
理由① 為替の方向は誰にも予測できない
「円安が続く」「円高に戻る」——どちらの意見も一定の根拠があり、どちらが正しいかは誰にもわかりません。為替は金利・物価・政策・国際情勢など膨大な要因で動くため、プロのエコノミストでさえ外れることが多い分野です。
予測できないものに基づいて売買すると、「読み違えたときのリスク」が生まれます。
理由② 長期で見ると為替の影響は平均化される
10年・20年単位で積み立てを続けると、円安の時期も円高の時期も経験します。ドルコスト平均法で毎月積み立てていると、円高のときは多くの口数を買え、円安のときは少ない口数になります。これが自然と為替リスクを平均化してくれます。
理由③ 為替より「資産の成長」が長期では支配的になる
S&P500が過去30年で約10倍以上になっています。仮に円高が進んで為替で20%目減りしたとしても、資産自体の成長がそれを大きく上回る可能性が高いです。短期の為替変動より、長期の資産成長に目を向けることが重要です。
為替リスクが特に気になる人への対策
とはいえ「為替リスクを全く無視できない」という方もいます。そういう場合の現実的な対策を紹介します。
① 日本株の比率を高める
日本株は円建てなので為替リスクがありません。ポートフォリオの一部を日本株にすることで、為替の影響を和らげられます。
② 為替ヘッジありのファンドを使う
「為替ヘッジあり」と表示されたファンドは、為替変動の影響を抑える仕組みが入っています。ただしヘッジコストがかかるため、長期では「ヘッジなし」の方がリターンが高いケースが多いです。
③ 資産全体のバランスを確認する
ポートフォリオに占める外国資産の比率が高すぎる場合は、日本株・国内債券・現金を増やすことで全体のリスクを下げられます。
SUMAIROとしての考え方
私のポートフォリオはオルカン・S&P500が中心で、外国資産比率が高い構成です。円安局面では評価額が増え、円高局面では減ります。
ただし、この事実を「不安の種」ではなく「仕組みの理解」として受け止めています。
為替が動くたびに一喜一憂していたら、精神的に持ちません。薬剤師として「副作用があることを知った上で薬を飲み続ける」ように、為替リスクがあることを理解した上で積み立てを続けることが、長期投資家のあるべき姿勢だと思っています。
円高が来たら「また安く買えるな」と思えるくらいの余裕を持てるように、生活防衛資金をしっかり確保しておくことが一番大切です。
私の実体験。為替に振り回されていた頃の話
始めた頃の失敗:「下がったら売る」
投資を始めた頃は、「下がったら売る」という行動を取ることが多かったです。旧つみたてNISAのときは積立額も小さく、海外旅行などまとまったお金が欲しいときに売って使っていました。
今振り返ると、これは典型的な失敗パターンです。売ったタイミングがたまたま安値だったこともあり、その後の上昇を逃したことが何度かありました。「非課税メリットを活かして長期保有する」という当初の目的がぶれていたと思います。
コロナ禍の円高で含み損になったとき
コロナ禍では株価下落と円高が重なり、円換算の評価額はかなりのマイナスになりました。「売ろう」とは思いませんでしたが、「買い増ししよう」とも思えなかった。手が止まってしまったのが正直なところです。
今振り返ると、あの時こそ買い増しのチャンスでした。含み損で「終わり」ではなく「安く買えるタイミング」として見られるようになると、投資の質が変わります。
円安・円高のとき、やること・やらないこと
✅ やること
- 毎月の積立を続ける
- ポートフォリオの比率を定期的に確認する
- 大きく下がった局面を買い増しのチャンスと考える
- 長期目線で「今は通過点」と割り切る
❌ やらないこと
- 感情で積立を止める
- 短期的な為替の動きで売買を繰り返す
- 「損を確定させたくない」で塩漬けにする
- 為替だけを見て商品をむやみに変える
よくある質問
Q. 円安のとき、積立を増やした方がいいですか?
A. 焦って増やす必要はありません。資金に余裕があれば増やすのは悪くありませんが、大切なのは「感情に流されない」こと。毎月一定額を続ける方が長期的には安定します。
Q. 円高で評価額が下がったとき、積立を止めてもいいですか?
A. 止めないのが基本です。円高のときこそ同じ金額でより多くの口数を買えるので、長期的には有利になることが多いです。ドルコスト平均法の効果が最も出る局面とも言えます。
Q. 米国株だけ持っていると円高のときに損しますか?
A. 短期的には円換算の評価額が下がります。ただし長期保有が前提なら、円高の局面が続くわけではありません。気になる場合は日本株や国内債券など円建て資産を一部持つことで分散できます。
まとめ
- 円安→外国資産の円換算が増える、円高→減る。これは仕組みとして理解しておく
- 為替の方向は予測できないため、為替で積立戦略を変える必要はない
- 長期投資ではドルコスト平均法が為替リスクを自然に平均化してくれる
- 為替リスクが気になる場合は日本株比率を高めるのが現実的な対策
- 一番大切なのは生活防衛資金の確保。それさえあれば為替に動じずに済む
参考リンク
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。為替・投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。
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